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シーズン 5
55

【ネタバレ感想】アニメ『ゴールデンカムイ』第5期 第55話(第5期6話)「全ての元凶」

投稿日: 2026年2月9日
感想
ネタバレ
第5期
最終章

【ネタバレ感想】アニメ『ゴールデンカムイ』第5期 第55話(第5期6話)「全ての元凶」

2026年2月9日、この物語の根底にある「因縁」が露わになる、極めて重厚な一回が放送されました。サブタイトルの通り、これまで断片的に語られてきたウイルクの真実と、鶴見中尉という男を突き動かす情念の正体が白日の下にさらされました。派手な立ち回りがあるわけではないのに、言葉の端々から溢れる静かな熱量に、観終えたあともしばらくその余韻から抜け出せないような感覚を覚えました。

総評:黄金がもたらす災厄と、救いという名の呪縛

これまでの旅の裏側にあった、あまりにも冷徹な「仕組み」が明かされた回でした。鶴見中尉が放った言葉という名の“毒の矢”が、アイヌたちの絆を内側から食い破り、ウイルクを網走の深淵へと追い詰めていく。その過程を淡々と語る中尉の穏やかな振る舞いが、かえって彼の内側にある計り知れない空虚を感じさせて、静かな畏怖の念を覚えました。

演出面でも、今回の張り詰めた空気感は際立っていました。鶴見中尉が自らの妻子について独白するシーンでは、それまでの物語のトーンが一変し、部屋全体が彼の情念に塗りつぶされていくような重苦しさを感じました。彼の言葉一つひとつが、聞いている側近たちの、そして視聴者の心に逃れられない問いとして置かれていくようで、一瞬一瞬の沈黙にすら重みがありました。

制作陣が長年積み重ねてきた、キャラクターの微細な感情の変化も、今回一つの大きな節目を迎えたように思います。光の届かない部屋で、中尉の瞳に宿る冷たい意志。そして、扉の外でそれを受け止める月島と鯉登。言葉以上の情報が、その場の張り詰めた空気感や呼吸の間に詰まっていました。本作が、単なる冒険譚ではなく、失われた愛と執念の物語であることを改めて突きつけられたように感じました。

第55話 全ての元凶

物語は、北海道へ渡ったウイルクの変化から、鶴見中尉による「毒の矢」の暴露へと進んでいきました。有古の父に接触し、ウイルクの過去を吹き込むことで、金塊を探すアイヌたちの間に不信の種をまく。かつての平和な協力関係が、疑念一つで凄惨な殺し合いへと変貌していく様子は、見ているこちらまで背筋が凍るような感覚がありました。鶴見という男の恐ろしさは、武力以上に、人の心の脆い部分を的確に突くその冷徹な知略にあるのだと改めて実感しました。

追い詰められたウイルクが選んだ生存への道は、あまりにも凄絶でした。自らの顔の皮を剥ぎ、別の死体に被せることで死を偽装する。その凄惨な行為を、鶴見中尉が「それを見抜いた」と語る場面には、怪物同士が互いの存在をぶつけ合っていた、常人には理解できない領域の確執を感じました。彼が網走監獄へ逃げ込み、「のっぺら坊」として収監されることになるまでの空白が、血の匂いと共に埋まっていくのを感じました。

部屋の空気が決定的に沈み込んだのは、鶴見中尉が自身の妻子について切り出した瞬間でした。ウイルクに妻子を殺されたと明かし、その個人的な復讐心が、日本国の繁栄という巨大な大義と分かっていながらも不可分に結びついている。彼の穏やかな語り口の中に、冷たく燃えるような深淵を感じました。個人的な悲劇を「大義」という盾で包み込み、自らを正当化しながら突き進む姿。その底知れない情念が、静かな独白の中に満ちていました。

その話を扉の外で聞き入っていた月島と鯉登の描写も、今回の大きな見どころでした。中尉にも「人間らしい愛憎」があった事実に触れ、月島がどこか救われたような、安堵したような表情を浮かべる一方で、鯉登もまた、中尉が語る真実を自らの忠義の置き場所として再確認しているように見えました。二人の側近が、鶴見中尉の告白を自らの救いへと変えていく。その不気味なほどの静けさと、扉を隔てた距離感が、彼らの主従関係の歪さを際立たせていました。

今回のエピソードタイトル「全ての元凶」が指し示すものは、単一の存在ではないように感じました。アイヌの信頼を壊した鶴見中尉の策謀か、あるいは生存のために他者の命を切り捨ててきたウイルクの業か。しかし、それら全てを狂わせ、人々を修羅道へと駆り立てる根源は、やはり金塊そのものなのかもしれません。黄金という美しくも無機質な輝きが、人間の醜悪な執念を引きずり出し、悲劇の連鎖を生んでいく。その救いのなさに、深く考えさせられました。

印象的だったのは、中尉が「黄金にカムイがいるとすれば、それは……」と高らかに宣言するシーンです。アイヌに災厄をもたらす「ゴールデンカムイ」。作品のタイトルそのものが、中尉の呪詛のような定義によって上書きされた瞬間に、一気に空気が変わるような感覚を覚えました。黄金という輝かしいものが、関わる全ての者を破滅へと導く毒でしかない。その冷酷な真理を、まるで真理を説くかのように語る中尉の姿は、まさにこの物語を支配する呪いそのものを体現しているように思えました。

次回の予想

次回のタイトルは「イポプテ」です。鶴見中尉から暗号の鍵を迫られ、ついに父の名「ホㇿケウオㇱコニ」を口にしてしまったアシㇼパ。暗号が解明されるまでの一分一秒を争う状況下で、杉元たちがどのような追撃を見せるのか。

有古がアイデンティティと忠義の間でどのような決断を下すのか。アシㇼパを奪還しようとする杉元と、それを阻む鶴見陣営の知略と暴力がぶつかり合う、息をもつかせぬ展開が予想されます。物語が最終盤へ向けて加速する中、キャラクターたちが守り通そうとする「意志」の行方から、一時も目が離せません。

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