【ネタバレ感想】アニメ『葬送のフリーレン』第2期 第29話「じゃあ行こうか」
【ネタバレ感想】アニメ『葬送のフリーレン』第2期 第29話(第2期1話)「じゃあ行こうか」
2026年1月16日(金)、日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT」にて、待望の第2期・第29話が東京を含む全国で一斉に放送されました。
総評:1期のクオリティを凌駕する、静かで熱い最高の幕開け
第2期のスタートを飾る今回、まず驚かされたのは「変わらない安心感」と「さらなる進化」です。派手な魔法バトルをあえて封印し、魔法が使えない窮地を描くことで、かえってキャラクター同士の信頼関係を浮き彫りにする構成が秀逸でした。制作のマッドハウスによる映像美はさらに磨きがかかり、劇伴のEvan Call氏による情緒豊かな音楽が、視聴者を一瞬で「フリーレンの世界」へと引き戻してくれます。フリーレンを見るたびに「勇者ヒンメルの死から・・・」の時に、子供のころに好きだったグリーンスリーブスの曲とともに望郷の念が浮かぶのは私だけでしょうか。単なる続編ではなく、一歩深くキャラクターの心に踏み込んだ、これ以上ない完璧な第1話と言えるでしょう。
今エピソードは、原作コミックス第7巻収録の**第61話「封魔鉱」**をベースに、一部62話の内容を交えて構成されています。
特筆すべきは、第1期から続投する斎藤圭一郎監督とアクションディレクター陣のこだわりです。スタッフ間の逸話として、今回の「魔法が使えない戦闘シーン」を描くにあたり、監督は「魔法の華やかさに頼らず、キャラクターの息遣いや装備の重さが伝わるような“生っぽい”演出」を追求したといいます。その結果、シュタルクが竜の攻撃を盾で受ける際の火花や、足場の土が削れる細かな描写にまで徹底的なリアリズムが宿ることとなりました。
新オープニングは、Mrs. GREEN APPLEによる「lulu.」。疾走感がありつつも、どこか懐かしさと切なさを感じさせるメロディが、これからの「北部高原編」の幕開けにふさわしい爽快感を与えてくれます。映像面では、フリーレンが歩む道に、かつての勇者一行の残像が重なる演出が非常にエモーショナルです。今の仲間であるフェルン、シュタルクとの旅路を肯定しながらも、過去を決して忘れない彼女の決意が、鮮やかな色彩と共に表現されており、一秒たりとも目が離せません。
エンディングは、第1期から引き続きmiletさんが担当。新アレンジ、あるいは新曲として提示されたその歌声は、旅の終わりを優しく包み込むような包容力に満ちています。1期のEDが「旅の始まりと憧れ」だったのに対し、今回の映像は「積み重ねてきた思い出と、これからの静かな歩み」を感じさせる、より落ち着いたトーン。夕暮れ時のような穏やかな余韻を残してくれるこの曲があるからこそ、視聴者は「また来週もこの旅に同行しよう」という温かい気持ちになれるのだと感じました。
第29話「じゃあ行こうか」:時系列あらすじと見どころ
物語は、一級魔法使い試験を終え、魔法都市オイサーストから再び北を目指す静かな旅路から始まります。冒頭、フェルンの左腕で輝く「鏡蓮華のブレスレット」が光を反射する数秒のカットがあるのですが、言葉を使わずとも「ヒンメルの想い」が今も旅の真ん中にあることを示す演出には、開始早々胸が熱くなります。フェルンの仕草一つひとつに1期以上の繊細な作画が宿っており、彼女たちの日常が帰ってきたことを実感させてくれます。
順順調に見えた旅ですが、地盤沈下によって一行は深い地下洞窟へ。そこは魔法を無効化する希少な「封魔鉱」が眠る、魔法使いにとっての天敵とも言える場所でした。常に冷静なフリーレンでさえ杖を置き、フェルンが珍しく焦りの表情を浮かべる中、この絶体絶命のピンチが物語に心地よい緊張感を与えます。「魔法は万能ではない」という設定をここで改めて提示することで、ファンタジーとしてのリアリティと深みがぐっと増しているのが印象的です。
暗闇から現れたのは、魔法耐性を持つ巨大な「毒極竜」。魔法が使えない二人の前に、震える足を押さえて斧を構えたのはシュタルクでした。彼が一人で竜の猛攻を食い止めるシーンでは、肉体同士がぶつかり合う重厚なSEと泥臭いアクションが描かれ、魔法戦とはまた違う「戦士のカッコよさ」が爆発しています。臆病だった彼が、守るべき者のために最前線に立つ姿には、彼の確かな成長と、パーティにおける存在感の大きさを再確認させられ、思わず手に汗握る名シーンとなりました。
窮地の中でフリーレンが選んだのは、無理な討伐ではなく「全員で逃げる」ことでした。ここで挿入されるヒンメルの回想――「全滅するくらいなら逃げなさい。また笑って会うためだ」という教えが、今のフリーレンの行動に直結している演出には脱帽です。過去の思い出が今の彼女たちの命を救うという、本作の真骨頂とも言える「時間の積み重ね」が美しく描かれています。地上の光を目指して協力して這い上がる3人の姿には、もはや師弟という枠を超えた、対等な仲間の絆が溢れていました。
無事に脱出した一行は、宿場でヴィアベルたちと再会。ヴィアベルがシュタルクの腕を認め、「俺のパーティに来ないか」と誘う場面は、1期の試験編を観てきたファンにはたまらない贈り物です。しかし、シュタルクがフリーレンたちの顔を見て「俺の居場所はここだから」と静かに断るシーンで物語は締めくくられます。この一言に、今の3人の関係性のすべてが凝縮されており、これから始まる過酷な「北部高原編」への期待を最高潮に高めてくれる、素晴らしいエピソードでした。